鮎の釣り方「泳がせ釣り」とは?オバセ・ポイント・道具について解説
鮎の釣り方には大きく分けて「泳がせ釣り」と「引き釣り」があります。
泳がせ釣りは鮎の友釣りの基本テクニックであり、瀬での引き釣りにも応用できるため、釣り方の基本を押さえておきましょう。
今回は「泳がせ釣りとは?」「オバセとは?」など、泳がせ釣りの基本的な内容について解説します。
泳がせ釣りに適した鮎釣り具についても解説するので、鮎釣り初心者の方や興味をもっている方は参考にしてみてください。
鮎の釣り方「泳がせ釣り」とは
流れの比較的緩い場所で、オトリをポイントへ誘導しながら泳がせる釣り方が「泳がせ釣り」です。
だいぶ昔、軽量なカーボン竿でなく竹竿と太いナイロンラインを組み合わせていた時代の友釣りは、ベタ竿での瀬釣りが主流でした。
重たい竹竿では、そもそも立て竿が難しかったわけです。
鮎竿が竹竿からカーボンに代わり、細いラインが登場したことで、立て竿操作の泳がせ釣りが可能になりました。
瀬釣りでは水中糸に対する流れの抵抗を切るために竿を寝かせますが、泳がせ釣りでは立て竿が基本。
およそ竿角度60~70度くらいの範囲で、水中糸の入り具合とオトリの泳ぎを見ながら調節します。
アクティブに流れの強い流れを攻める瀬釣りが「動」の釣りならば、泳がせ釣りは「静」の釣り。
ラインの糸フケ「オバセ」の量を調節しながらオトリを泳がせるのが特徴です。
緩い流れでオトリを泳がしていて野鮎が掛かると、静かな水面上で動いていた目印が激しく吹っ飛びます。
瀬釣りより掛かったときの目印の動きが大きくダイナミックに感じるのも、泳がせ釣りの魅力のひとつです。
「オバセ」とは
流れに対してラインのテンションを弱めると水流に押されてたるみます。
たるませた際にできる糸ふけが「オバセ」です。
テンションをかけてオバセをゼロに近づけるほどオトリはその場所で止まりやすく、たるませてオバセを大きくすると泳ぎだします。
このオバセを利用した釣りが泳がせ釣りであり、たるんだラインがオトリを下流側に引っ張り、引っ張られたことに反応して上流へ上るわけです。
泳がせ釣りではオバセの量をうまく調節しながら、釣り人がオトリをコントロールする釣りを展開します。
元気なオトリが必要になる釣り方
泳がせ釣りでは、オトリの元気度が釣果を上げるカギになります。
スルスルと、尻尾を振りながら泳いでいる動きで野鮎にアピールするわけですが、元気のないオトリの弱々しい泳ぎには野鮎が反応しません。
瀬釣りでは、強く縄張りを意識した鮎がいる場所にオトリを沈めれば、弱ったオトリでも掛かる可能性があります。
対して、流れの緩い場所で弱いオトリを使ってもなかなか釣れません。
弱いオトリで大きくオバセを大きくとると流れに負けてさらに弱ってしまうほか、底に身体をつけて休んでしまうため注意が必要。
そんなときは流れの強い瀬に移動して、オモリや背バリを使ってオトリを沈める釣りを展開したほうがよいでしょう。
とくに、オトリ屋さんで購入した養殖鮎はうまく泳がないケースがあらい、瀬で元気なオトリをとってから泳がせ釣りに向いたポイントへ移動するのがオススメです。
泳がせ釣りのポイント(場所)
トロ場
瀬のように石に流れが当たって白波が立っている場所ではなく、文字通り「トロっとした」ポイント「トロ場」は、まさに泳がせ釣りに最適なポイントです。
竿の操作で無理やり引くとオトリが浮いてしまうため、オバセの量を調節しながら泳がせます。
基本的に朝から釣れるのは期待しにくく、日中に水温が上がってきてからが狙い目。
野鮎のストック量が多いため、うまくはまれば入れ掛かりも期待できます。
また、渇水によって瀬が釣れないときにも有望なポイント。
上下に良い瀬があれば、鮎が行ったり来たりする1級ポイントになり、1日中釣れ続けるケースもあります。
ただ、深い場所では底石の状態を確認しづらく、知らないポイントでは当たりはずれが大きい場合も。
はじめて行く川や慣れていないポイントでは、少し様子を見てダメなら早めに見切るのも大切です。
チャラ瀬
ひざ下からくるぶし程度のごく浅い流れを「チャラ瀬」と呼びます。
あえてベタ竿で扇状に動かす釣り方もありますが、縄張りをもつ鮎よりアソビ鮎が対象となるケースが多く、オバセを利かせての泳がせ釣りが基本。
水深が浅く釣り人の気配が鮎に伝わりやすいため、なるべく鮎を散らさないように静かに釣りましょう。
盛期になれば朝からでも釣れますが、人が多く通れば鮎が散ってしまって釣れません。
また、根掛かりにも注意が必要です。
根掛かりを外しに行くと鮎が散ってしまい、ポイントをつぶしてしまいます。
ハリを瀬よりワンランク小さい号数を選んだり、4本イカリを3本にしたり、またヤナギにしたりなど臨機応変に対応しましょう。
チラシ・ヤナギについては、下記の記事で詳しく取り上げています。群れ鮎も友釣りのターゲットにできる
友釣りは鮎の縄張りをもつ習性を利用した釣りですが、「群れアユ」と呼ばれる縄張りをもたない鮎もいます。
大きな塊になっている群れや、ややバラツキながら群れている場合もありますが、いずれにせよ友釣りのターゲットとして釣りにくいのが特徴です。
そんなシチュエーションでは、泳がせ釣りがぴったり。
自由にオトリを泳がしてうまく群れに馴染めば、いずれハリ掛かりします。
なんとか1匹掛けることができれば、野鮎をオトリにして入れ掛かりになる場合も。
川の状況によっては「縄張り鮎が少なく群ればかり」、というシチュエーションもあり得るので、泳がせ釣りは身につけておいて損のないテクニックなのです。
強い瀬でも「泳がせ釣り」はできる
流れの緩いトロ場や、チャラ瀬ばかりが泳がせ釣りのポイントとは限りません。
一見ガチャガチャとした瀬のなかには石裏や流れのヨレ、落ち込みの反転流などの流れの弱いポイントがあり、竿を立てて泳がせたほうがよい場合があります。
底石が大きく意外と底流れが緩い場所も、立て竿の泳がせ釣りのポイント。
状況を的確に判断して、竿を寝かしたり立てたりして対応できれば、釣果アップも期待できるでしょう。
また、掛けてオトリしたばかりの鮎はとても元気で、結構な強い流れでも立て竿のままスルスルと上っていく場合もあります。
さらに、水中糸の選択によっては瀬での立て竿も可能です。
水切れのよい極細メタルラインで流れの抵抗を切ってやれば、ポイントによっては立て竿で瀬釣りを展開できます。
ただし、あくまでオトリの元気度に左右されるので、いろいろ試しながら臨機応変に釣ってみましょう。
複合メタルラインについては、下記の記事で詳しく取り上げています。「泳がせ釣り」の鮎釣り具選び方
泳がせ釣りでは、オトリの操作性を重視したタックルを使用します。
選び方のポイントを押さえておきましょう。
鮎竿
絶対ではないものの、一般的に泳がせ釣りでは、操作性を重視して「先調子」の鮎竿がよいとされています。
また、ガチガチのパワーロッドよりは柔らかい竿のほうが、オトリを弱らせたくない泳がせ釣りに適しています。
軽さも要チェック。
泳がせ釣りでは立て竿操作が多く、繊細な操作性も求められるため、なるべく軽い鮎竿が使いやすくオススメです。
下記の記事では、軽い鮎竿をランキングを発表しています。ぜひ参考にしてみてください。水中糸
泳がせ釣りで使う水中糸には、フロロカーボンライン・ナイロンライン・複合メタルラインなどがあります。
ナイロンラインはしなやかさがあり泳がせ釣りにぴったり。
ただし、吸水性があって紫外線にも弱いなど、やや耐久性に不安があります。
フロロカーボンラインはナイロンラインより比重が高く、やや硬め。
耐久性が高くオールラウンドに使えるラインです。
複合メタルラインも、瀬からトロ場までオールラウンドに使えるライン。
ただし、比重の高さによっても泳がせ釣りに不向きな場合があります。
初心者なら、フロロカーボンラインか低比重の複合メタルラインがオススメです。
水中糸については、下記の記事で詳しく取り上げています。ハリ
ハリは状況によって号数や太さを選択する必要があります。
根掛かり防止を重視するなら、号数小さめで細軸タイプの軽いハリがオススメです。
また、号数を落としても根掛かりする場合は、ストレートタイプより針先が内側に向いている「しわりタイプ」を選択するなど工夫するとよいでしょう。
泳がせ釣りではオトリが底を這うように泳ぐため、針先が傷みやすい場合があります。
製品によっては、針先が傷みにくい素材を採用したハリもあるのでチェックしてみてください。
また、イカリで根掛かりする場合は、より軽い仕掛けにできるヤナギやチラシもオススメ。
ただし、反転流の大きいポイントや上竿でオトリが釣り人より上を泳いでいるときは、掛けバリが中ハリスや水中糸に掛かってしまう「エビ」になりやすく注意が必要です。
鮎針については、下記の記事でも解説しています。「泳がせ釣り」は身につけておきたいテクニック
鮎の泳がせ釣りとは、糸フケ「オバセ」を駆使する釣り方 立て竿で操作してオトリを泳がせる、群れアユ対策にも有効的なテクニック
どんなポイントであれ、オトリを泳がせる操作は友釣りの基本テクニックです。
さまざまなテクニックを身につけて、どんなシチュエーションにも対応できるようにしておくと、鮎釣りがもっと楽しくなるでしょう。
ぜひ実際に川へ行って、いろいろと試してみてくださいね。