「水中糸」は鮎釣りの仕掛けで重要なパーツです。
複合メタル・オールメタル・フロロカーボン・ナイロン・PE・ハイテクラインなどさまざまな種類の水中糸があり、とくに鮎釣りをはじめたばかりの方は混乱してしまうことも。
水中糸は素材によって特性が異なり、使用に適したシチュエーションも違うため注意が必要です。
そこで今回は、種類別に特徴や選び方を解説とあわせて、オススメの水中糸を紹介します。
水中糸選びで悩んでいる方、これから鮎釣りをはじめたい方はぜひ参考にしてみてください。
目次
鮎釣り用「水中糸」種類別の特徴と選び方のポイント
鮎釣りで使用する水中糸には、複合メタル・オールメタル・フロロカーボン・ナイロン・PE・ハイテクラインなど、さまざまな種類があります。
それぞれの特性を理解して、使い分けるのが釣果を上げるうえで重要です。
- 複合メタルライン
- オールメタルライン
- フロロカーボンライン
- ナイロンライン
- PEライン
- ハイテクライン
では、それぞれのメリットやデメリット、選び方を解説していきましょう。
複合メタルライン
メタルラインは文字通り金属の糸であり、「複合メタルライン」とは数本の金属糸を中心に撚り合わせた水中糸です。
瀬での引き釣りからトロ場の泳がせ釣りまでオールラウンドに使えるとして、現在ではもっとも主流の水中糸で多くの鮎師が愛用しています。
ナイロンやフロロカーボンなどの樹脂製ラインとは異なり、金属で水に沈みやすいのが特徴です。
水切れ性能に優れており、比重の重いタイプはオトリを沈めにくい流れの強い瀬で有効なほか、感度も優れています。
また、撚り糸で耐久性と柔軟性に優れており、キンク(折り目がつくこと)しにくく、トラブルを心配せずに使えるのもメリット。
強度にも優れているため、樹脂製ラインより号数を細くできるのも魅力です。
デメリットは、製品によっては表面がざらついている場合があること。
目印を動かしたときに引っかかりがあると、その場所から切れてしまうケースもあり注意が必要です。
複合メタルラインの選び方
複合メタルラインを選ぶ際の重要なポイントのひとつが「比重」です。
比重は、撚り合わせる糸の種類や混合バランスによって決まります。
比重の数字が大きいほど沈みやすいラインであり、流れの強い瀬で威力を発揮。
比重の低いタイプはオールラウンドに使用できるタイプで、とくに初心者にオススメです。
また、表面のざらつき具合も要チェック。
モデルによっては、コーティングを施すことでツルツルな手触りを実現しているタイプもあります。
複合メタルラインは使いやすい水中糸であり、ラインナップも豊富
比重や表面のざらつき具合をチェックしておこう
複合メタルラインのオススメ水中糸
シマノ(SHIMANO) 複合メタル メタキング ナノ
0.01号もの細さで話題を呼んだ「メタキング」に、0.006号と0.008号の超極細複合メタルラインが「メタキング ナノ」として追加されました。
水の抵抗を最大限に抑えて、オトリがスイスイ上がっていく異次元の入りやすさを実現。
0.006号で18cmまで、0.008号で20cmまでが対応可能なサイズになっています。
超極細ラインに不安を感じる方向けに、0.02号もラインナップ。
24cmまでの鮎の引き抜きに対応可能です。
ダイワ(DAIWA) 複合メタルライン メタコンポデュラ
定番複合メタルラインとして人気の「メタコンポ」が、メタコンポデュラとして進化。
耐摩耗300%以上を実現し、コスレの強さが特徴です
。
特殊素材のハイテンションワイヤーと高強力繊維組み合わせにより、高強力を実現しています。
特殊構造でキンクやカールの発生を抑えているのもポイント。
表面にコーティング加工を施しており、水切れのよさと目印の移動がスムーズなのも魅力です。
ダイワ(DAIWA) 複合メタルライン メタコンポヘビー
ダングステンワイヤーと高強力繊維を組み合わせた複合メタルラインです。
比重5.0でメタンコンポより沈みやすくなっており、やや強めの瀬での使用に適しています。
視認性に優れたイエローを採用しており、角度も確認しやすく操作しやすいなど、使いやすい水中糸です。
シマノ(SHIMANO) 複合メタルライン メタキングⅡ
ダイワのメタコンポシリーズと並んで人気の複合メタルラインの2代目モデルです。
オールマイティに使える水中糸で、泳がせから瀬での引き釣りまで柔軟に対応します。
カラーにビビットなピンクを採用し、見えやすいのが特徴。
塗料を硬くして目印の移動をスムーズにしているほか、水切れも向上しています。
オーナー(OWNER) 複合メタルライン ザイト メルファMH
オールラウンドに使いやすい複合メタルラインです。
超強力新素材にタングステンをクロスコンポジットしているほか、表面にハードコーティングを施しています。
比重9.0で、さまざまな状況や釣法に対応しやすく、引き釣りから引き釣り泳がせ、泳がせなどあらゆるシーンで活躍するオススメの水中糸です。
北越産業 複合メタルライン RAN PREMIUM
複数本のタングステンを組み合わせた複合メタルラインです。
表面の平滑化を図っており、目印移動しやすくなっています。
ワインレッド色によって仕掛けづくりや、高い視認性も魅力の水中糸です。
オールメタルライン
文字通り、金属のみで製造されているラインです。
単線タイプと、金属を撚り合わせたタイプがあります。
複合メタルラインのように、表面がざらついてなくツルツルした手触りが特徴です。
最大の特徴が抜群の水切り性能。
激流でも難なくオトリを入れられる、水中抵抗の少なさが魅力です。
オール金属で表面はツルツルしているため、複合メタルラインのように目印が引っ掛かりにくくなっています。
また、複合メタルライン同様強度に優れており、号数を細くできるのもポイントです。
オールメタルは驚異的な水切り性能を誇る反面、キンクしやすいのがデメリット。
とくに単線メタルタイプは、なにかの拍子にキンクして折れ目がついてしまい、その部分から簡単に突然切れることがあるため注意が必要です。
また、価格が高いのも難点。
鮎釣り用ラインの中では、もっとも高価な水中糸です。
ただ、オールメタルの水切り性能はとても魅力的。
とくに、押しの強い流れではデメリットを差し引いても使いたい水中糸です。
トラブルの対策としては「あまりに細い号数を選ばない」「扱いは慎重に」ということに尽きます。
オールメタルラインの選び方
オールメタルラインは、複合メタルラインと比べてラインナップが少なく種類が限られます。
使用するシチュエーションを想定して、比重や扱いやすさをチェックしておきましょう。
たとえば、バリバスから発売されている「スーパーメタルゴールド」は、単線メタルながらしなやかさも備えた水中糸。
伸縮性のある形状記憶金属を採用しており、扱いやすく突然大型が掛かった際のショックにも強いのが特徴です。
オールメタルは圧倒的な水切れ性能が特徴
ただ、雑な扱いはキンクの原因になるため注意が必要
オールメタルラインのオススメ水中糸
バリバス(VARIVAS) スーパーメタルゴールド
単線メタルタイプのオールメタルラインです。
特許取得の「形状記憶チタン合金」を採用しており、伸縮するのが最大の特徴。
復元力100%で、ショックに強くタメやすいメリットもある水中糸です。
石ズレに強い特性があるものの、キンクには弱いため取り扱いには注意してください。
ダイワ(DAIWA) ハイパーエムステージEX
惜しまれつつ生産を中止したハイパーエムステージが、「ハイパーエムステージEX」として2019年シーズンに復活しました。
高比重14.9で、水切り性能は抜群。
真円に近い形状により、目印の移動もスムーズです。
強化されたコーティングで、トラブルの少なさや扱いやすさも前モデル以上を実現しています。
視認性に優れたライムグリーンの採用で、オトリの入り方の確認や仕掛け作りの際に見やすく便利なオススメ水中糸です。
フロロカーボンライン
フロロカーボンラインの原料は「ポリフッ化ビニリデン」というプラスチック樹脂です。
鮎用水中糸に限らず、さまざまな釣りに使用されて普及しています。
比重は1.78でナイロンラインよりやや重め。
パッと見た目はナイロンラインと変わらないこともあり、ナイロンラインのヘビーユーザーでも違和感なく使用しやすいラインです。
フロロカーボンは耐摩擦性に優れています。
石づれに強く、大きな石がゴロゴロしているようなポイントで安心して使用できます。
金属ラインほどではないですが、オトリを沈めやすく感度も優れており、オールマイティーに使えるラインです。
また、金属ラインと比べて価格が安いのも魅力のひとつ。
なるべくコストを抑えたい方にもオススメのラインです。
巻グセが付きやすい特性がありますが、鮎釣りでは通常4~5mほど使用するだけであり、問題ないでしょう。
あまりデメリットを感じられないラインですが、しいていえば、ナイロンラインと比べて結束強度が低いこと。
結び目の強度は、ナイロンラインのほうがやや優れています。
フロロカーボンラインの選び方
フロロカーボンラインはメーカーや製品によってバラツキが少なく、有名メーカーのモデルならどれを選んでも大きな差はありません。
価格や好みの釣り具メーカー製から選んでもよいですが、ライン専門メーカーのモデルから選ぶのも方法のひとつ。
なかでも人気なのが「シーガー」のフロロカーボンラインです。
フロロカーボンラインのパイオニアとして品質の高いラインを製造しており、多くの釣り人から高く評価されています。
フロロカーボンラインはトラブルの少ないオールラウンドなライン
価格が安いのも魅力的
フロロカーボンラインのオススメ水中糸
クレハ(KUREHA) フロロカーボンライン シーガースーパーGM
水切れのよさに定評があるフロロカーボンライン。
フロロカーボンライン専門メーカーによる、高い信頼性も魅力のオススメ水中糸です。
サンライン(SUNLINE) フロロカーボンライン トルネード鮎
フロロカーボン特有の高感度が魅力のフロロカーボンラインです。
吸水変化も少なく、高強度・高耐久性を実現しています。
抜群の水切れで絶妙なナチュラル泳がせを可能にしており、泳がせ釣りにオススメの水中糸です。
ダイワ(DAIWA) フロロカーボンライン タフロン速攻
根ズレにも強く、細糸でも安心して使えるフロロカーボンラインです。
糸に適度な張りとしなやかさがあって使いやすく、高次元の直線・結節強力を引き出すことに成功しています。
ナイロンライン
さまざまな釣りで使用されている、フロロカーボンラインと並んで一般的なラインです。
鮎釣りにおいても根強いユーザーは多いものの、今では金属ラインや新素材ラインなどさまざまな水中糸が開発されていることもあり、複合メタルラインやフロロカーボンラインと比較すると使用率はやや劣ります。
ナイロンラインの最大のメリットは、しなやかさを活かしたオバセを多くとる釣りの展開しやすさです。
複合メタルラインやフルメタルラインと比べて、やや太めの号数を使用するため、水中抵抗がオトリを刺激して尾びれを振って泳いでくれます。
また、フロロカーボンラインと比較した場合、結束強度にやや優れているのもメリットのひとつです。
ただ、極端に結束強度が優れているわけでなく、現代の鮎釣り仕掛けでは結束しない編み込みが主流であることもあり、際立ったメリットとはいえないかもしれません。
ナイロンライン最大の弱点が吸水してしまうこと。
吸水することで膨らんで劣化が早く、切れやすくなります。
また、紫外線に弱い特性もあり、ギラギラの太陽の下で楽しむ鮎釣りにおいては致命的な弱点です。
対策としては、あまり長期間同じ仕掛けを使用しないこと。
また、糸に張りがないため、手にベトつく感じを嫌う釣り人もいます。
ナイロンラインの選び方
フロロカーボンと同様、製品ごとのバラつきが少ないため、好みで選んで問題ありません。
なかにには、特殊なコーティングを施すことでナイロンラインのデメリットを克服している製品もあるので、チェックしておきましょう。
ナイロンラインを好んで使う人もいるが、長持ちしないので注意が必要
デメリットを克服した特殊コーティングラインがオススメ
ナイロンラインのオススメ水中糸
ダイワ(DAIWA) ナイロンライン スペクトロン鮎 制覇
べたつきをなくし、操作性を向上させるべくさらに張りをもたせた高級ナイロンラインです。
細号数では、シャキッとした直線性で操作性に優れているのが特徴。
太号数になるほど、最適なしなやかさを実現しています。
特殊加工によって耐磨耗性も向上しており、安心して使えるオススメ水中糸です。
バリバス(VARIVAS) ナイロンライン エクセラ鮎
クラス最高の直線強度・結節強度を実現していると謳う、ナイロンラインです。
高密度分子結合製法(VA-G)によって、さらなる強度アップを実現。
さらに、独自のコーティングを施しており、耐久性と耐摩耗性も向上しています。
スーパーフッ素加工(SP-F)によってナイロンの欠点である吸水劣化を抑えているのが特徴。
さらに、スーパーサスペンド加工(SP-S)と親水樹脂加工の効果により、ナイロン糸の常識を覆す沈み性能を実現しているオススメ水中糸です。
PEライン
PEラインは、極細のポリエチレン素材の原糸数本を編み込んだライン。
比重は0.97と、水より軽いのが特徴です。
鮎釣り用のPEラインも販売されていますが、水中糸としてはあまり一般的ではありません。
同じ太さのフロロカーボンラインやナイロンラインと比べて、引っ張り強度に優れています。
また、ほとんど伸びない素材で高感度なのも大きなメリットです。
PEラインは引っ張り強度には優れているものの、摩擦に弱い特性があります。
石に擦れると繊維がバラバラになり、いずれは切れてしまうため注意が必要です。
滑りやすく結束しにくい点も弱点であり、接着剤も効きません。
また軽い糸であり、風に弱く吹き上がりやすく強風に弱いのもデメリットです。
PEラインの選び方
一般的なPEラインは水中糸に向いていないこともあり、ラインナップは少ないです。
コーティングを施して耐久性を強化しているモデルもあるので、チェックしてみてください。
PEラインは優れた感度が最大のメリット
水中糸に採用するならコーティングを施した耐久性の高いタイプがオススメ
PEラインのオススメ水中糸
ダイワ(DAIWA) PEライン 鮎PE+Si
伸度3%台と、抜群の感度を実現している鮎釣り用PEラインです。
コーティングの強化によってトラブルを軽減しているほか、糸自体が軽くオトリ鮎に負担をかけません。
ハイテクライン
PEラインのデメリットを克服すべく開発された新素材ラインです。
なかでも人気がDUELの「アーマード」で、愛用者が徐々に増えています。
「アーマード」はPEラインをベースにフロロカーボン、シリコンなどでコーティングしたラインです。
特筆すべきは、表面だけでなくライン中心部にも特殊ポリエチレン樹脂を浸透させていること。
PEラインと比べて石ズレに強く、耐久性に優れています。
また、PEラインをベースに使用しているため感度に優れている水中糸です。
表面のコーティングは剥がれることがあります。
剥がれてしまうと、耐久性は極端に下がってしまうため注意が必要です。
PEラインの弱点である石ズレを克服した新ライン
コーティング剥がれは常にチェックが必要
ハイテクラインのオススメ水中糸
デュエル(DUEL) アーマード FハードFH
メタル系のラインと比較して、同じ荷重での伸度が約半分の水中糸です。
手元に伝わる感度が優れており、快適な釣りをサポートします。
PEラインより石のスレやキンクに強いのも特徴で、長時間の使用も可能です。
比重約1.0で軽くしなやかなで仕掛けを作りやすいほか、鮎への負担も減らせます。
フジノライン(Fujino) 141ハイテク水中糸MONO
比重1.14でナイロンよりも重く、比重1.8以上のメタルラインよりも軽いハイテクライン。
泳がせ釣りから引き釣りまでスタイルを選ばず、オールラウンドに使いやすいオススメ水中糸です。
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水中糸の評判・口コミ
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水中糸それぞれの特性を理解して使い分けよう!
水中糸の種類それぞれの特性を理解して選択しよう
初心者なら、複合メタルラインかフロロカーボンラインがオススメ
鮎釣り初心者であれば、トラブルが比較的少ない複合ラインかフロロカーボンラインがオススメです。
まずはこの2種類のラインを使い込み、それぞれのメリット・デメリットを体感したうえで、オールメタルラインやハイテクラインを試してみてはいかがでしょうか?
今回解説した内容を参考にそれぞれの水中糸の特性を理解して、自分にぴったりなラインを選んでみてくださいね。