鮎竿のソリッド穂先・チューブラー穂先とは?違い・メリット・デメリット
鮎竿の穂先には、大きく分けて「ソリッド穂先」と「チューブラー穂先」の2タイプがあります。
鮎竿をはじめて選ぶ初心者の方の中には、どちらを選んだよいのか迷ってしまう場合もあるのではないでしょうか?
今回は、鮎竿のソリッド穂先とチューブラー穂先の違いやメリット・デメリットを解説します。
とくに、ソリッドとチューブラーの違いがわからない鮎釣り初心者の方は参考にしてみてくださいね。
鮎竿のソリッド穂先・チューブラー穂先とは
ソリッド穂先とは、カーボンやグラスといった素材が詰まっている構造の穂先です。
対して、チューブラー穂先はカーボンやグラス素材のシートを筒状に重ねる構造で中が空洞になっています。
どちらもさまざまな釣りジャンルの竿で使われていますが、チューブラー穂先は従来からあるタイプ。
鮎釣りにおけるソリッド穂先は、ダイワテスター伊藤正弘氏のアイデアで採用された比較的新しいタイプです。
鮎竿ではチューブラー穂先のほうがまだ主流ではあるものの、標準でソリッド穂先が付属している製品も多く販売されています。
鮎竿におけるソリッド穂先のメリット・デメリット
メリット①:細くて柔軟性に優れている
ソリッド穂先は、チューブラー穂先より細いのが特徴です。
薄いカーボンシートを使用するチューブラー穂先は、強度を保つべく重ねるので太くなります。
一方、ソリッド穂先は素材が詰まっている構造なので、限界まで細くできるのがメリット。
細いぶん柔軟性に優れており、繊細な調子を実現します。
また、曲がり込んでもつぶれにくく、粘りがあるのも特徴
チューブラー穂先よりも曲げに強く、穂先に急激に負担がかかっても破損そにくいメリットがあります。
メリット②:オトリが弱りにくい
柔軟性に優れているソリッド穂先は、オトリが弱りにくいのがメリットです。
オトリを引いた際に、硬いチューブラー穂先だとオトリにダイレクトに力が伝わるのに対して、柔軟なソリッド穂先はオトリへの負荷を軽減します。
オトリの弱りにくさは、操作に慣れていない初心者にとって大きなメリット。
鮎の友釣りは、オトリの元気度が重要。
硬い穂先でオトリを引き回してしまうと弱って釣りを続けられないので、オトリの元気度を楽に持続させたい方に好まれています。
メリット④:ゼロテンションをキープしやすい
ソリッド穂先は柔らかいぶんアソビが多く、ゼロテンション(ゼロオバセ)をキープしやすいのもメリットのひとつです。
ゼロテンションとは、糸を張らず緩めずのテンションをキープし、オトリに負荷をかけず休ませもしない状態のこと。
とくに繊細な操作が難しい初心者にとって、ソリッド穂先を使用する大きなメリットになります。
デメリット①:大鮎は引き抜きにくい
ソリッド穂先は大きく曲がるので、大鮎がかかると引き抜きしにくいのがデメリットです。
チューブラー穂先の感覚で引き抜くと、鮎の重さでグンと一段階垂れ下がるような状態になります。
ですので、鮎師によっては初期の小型にはソリッド穂先、盛期以降はチューブラー穂先と使い分ける方も多いようです。
デメリット②:チューブラー穂先より感度が劣る
ソリッド穂先は素材が詰まっている構造で、チューブラー穂先よりも重みがあります。
竿は軽いほど感度に優れているので、感度の低さがソリッド穂先最大のデメリットと考える方も多いようです。
ただし、先端部にチタン合金を使ったソリッド穂先が主流になってきており、ひと昔前ほどのデメリットではありません。
鮎竿におけるチューブラー穂先のメリット・デメリット
メリット①:軽くて高感度
薄いカーボンを巻くチューブラー穂先は中が空洞なので、素材が詰まっているソリッド穂先よりも軽いのがメリットのひとつです。
竿は軽いほど感度に優れており、前アタリやケラレ、根掛かりなどがわかりやすく、高レベルな釣りをサポートします。
メリット②:繊細な操作が可能
チューブラー穂先はソリッド穂先のようにアソビが少なく、釣り人の操作をダイレクトに反映します。
ゼロテンションから少しだけテンションの抜く、かけるといった繊細な操作も可能です。
自分のテクニックを駆使し、ハイレベルな操作性を求める釣り人に好まれています。
メリット③:大鮎に対応しやすい
チューブラー穂先は太く張りがあり、大鮎に対応しやすいのもメリットです。
ソリッド穂先よりも引き抜きしやすく、大きなオトリの操作性にも優れています。
デメリット①:雑に操作するとオトリが弱りやすい
チューブラー穂先はソリッド穂先よりも張りがあるぶん、操作がダイレクトにオトリへ伝わります。
雑に操作すると、オトリが弱ってしまうので注意が必要です。
逆に言うと、「繊細なオトリ操作やテンション調節を覚えるのにはチューブラー穂先のほうが適している」とも言えるでしょう。
ソリッド穂先のオートマッチ性能も魅力ですが、レベルアップするにはチューブラー穂先を使い込むべきだという考えた方もあります。
デメリット②:アタリを弾く場合がある
チューブラー穂先はソリッド穂先よりも硬く張りがあり、アタリを弾きやすいと一般的に言われています。
とはいえ、竿全体の調子やラインの伸び、針によっても異なるので、一概には言えません。
大鮎の場合、かえって張りがあるほうがガッチリと針が食い込むケースもあるでしょう。
ほかの釣りジャンルには当てはまるのかもしれませんが、鮎竿においてはデメリットと言うほどでもないと思います。
ソリッド・チューブラー穂先比較表
比較項目 | ソリッド穂先 | チューブラー穂先 |
太さ | 細い | 太い |
硬さ | 柔らかい | 硬い |
重さ | 重い | 軽い |
感度 | やや劣る | 良い |
大鮎対応 | △ | 〇 |
小型対応 | 〇 | △ |
操作性 | ゼロをキープしやすい | テクニックが求められる |
オトリ操作 | 弱りにくい | 雑に操作すると弱る |
それぞれの特性を理解して使い分けよう
ソリッド穂先とチューブラー穂先はそれぞれ特性があり、適しているシーンが異なる場合があります。
双方のメリットを生かして、川の規模や時期などに合わせて使い分けるのがおすすめです。
最近ではソリッド穂先とチューブラー穂先の両方が付属している鮎竿も多く販売されているので、ぜひチェックしてみてください。