「背バリ」とは?種類・メリット・使い方・タイプ別オススメ
鮎釣りの「背バリ」とは、オトリの頭部にセットする針。
オトリを沈めやすくしたり、安定させたりする目的で使用します。
ただし種類も多く、鮎釣りの初心者はどれを選択したらよいのか迷ってしまうこと。
そこで今回は、「背バリ」の種類やメリットを解説します。
タイプ別にオススメ製品も紹介するので、気になる方はチェックしてみてください。
「背バリ」とは?
背バリはオトリの頭部に打つ針で、流れの強い場所でオトリを沈めやすくする目的で使用します。
弱ったオトリを無理やり流れに送り込みたいときにも活躍。
背バリを打つことでオトリは前傾姿勢になり、底へ入りやすくなります。
オトリへ打つ場所により前傾姿勢の角度が変わり、頭部の前に打つと軽い前傾姿勢、後方に打つほど前傾角度が強めになるのが特徴です。
流れの強い場所へオトリを入れたいときオモリを装着する方法もありますが、根掛りが多発して釣りにくいことも。
背バリなら尻尾が上がった状態になるため、根掛りの心配を減らしながらオトリをコントロールできます。
「背バリ」の種類
ひと口に背バリといっても、さまざまなタイプがあります。
では、それぞれの特徴を押さえておきましょう。
チチワ式背バリ
樹脂ラインやPEラインなどで輪っかをつくり、ハナカン回り糸にチチワ結びするタイプ。
輪っか部に目印などを結んでおくと、引っ張れば外せて便利です。
手軽に使えるもっとも一般的なタイプで、自作も簡単。
ただ、外れた際は動きやすいため、糸がらみのトラブルが気になります。
ワンタッチ式背バリ
フック式でラインに引っ掛けて装着するタイプです。
ラインに結ばないため脱着が簡単で、使い古しのフック式サカサ針をそのまま利用している方もいます。
ウレタン背バリ
樹脂ラインやPEラインの代わりにウレタンゴムを使用するタイプです。
輪っか状にして取り付けるほか、そのままラインに結びつける使い方もあります。
ハナカンを中ハリスに結んでいるアソビの部分に取り付けるのが一般的です。
通常の背バリはセットした位置からハナカンは動きません。
対して、ウレタン背バリは引いたときにウレタンが伸びてハナカンが少し前に倒れるため、引きやすいのが特徴。
野鮎が掛かりやすい、軽い前傾姿勢を作りやすいともされています。
V型背バリ
針がV型になっている背バリです。
左右にふらつく動作を演出しやすいとされています。
チチワ式やワンタッチ式、ウレタンなどさまざまなタイプで使用可能です。
半スレ背バリ
針先にほんの少し返しを設けているのが半スレタイプです。
知らないうちに外れてしまうのトラブルを防げます。
ただし、少しの返しとはいえ服等に引っ掛かると面倒なので、扱いに慣れていない方は注意が必要です。
「背バリ」を使用するメリット・デメリット
背バリを装着すれば必ず釣れる、というわけではありません。
背バリと使った方がよい状況、不要な場面などメリット・デメリットを押さえておきましょう。
メリット
初心者でもオトリを沈めやすい
鮎の友釣りでは、オトリを中層より上で泳がせても基本的に野鮎は掛かりません。
とはいえ、鮎釣りを始めたばかりで慣れないうちは操作が難しく、うまく底流れにオトリを馴染ませにくいことも。
そんなとき背バリを使用すればオトリが潜りやすく、野鮎にアピールする前傾姿勢を簡単に演出できます。
初心者が強い瀬で釣る場合には、最初から背バリをセットしておくのがオススメです。
石の大きい川で使いやすい
石の大きい川やポイントでオモリを装着すると、石下にオモリが入ってしまって釣りにくい場合があります。
背バリなら根掛りの心配が少なく、石の大きい場所でもオトリを引きやすくなるのがメリット。
とくに初心者にはオモリの操作は難しいため、まずは背バリの使い方を覚えるのがオススメです。
前傾姿勢が誘いになる
「オトリの軽い前傾姿勢が野鮎を誘う動きになる」といわれています。
背バリを使用すれば、前傾姿勢の演出が簡単です。
とはいえ「水平姿勢がよい」「水平姿勢と前傾姿勢を繰り返すのがよい」など、釣り人によって見解が異なる点に留意しておきましょう。
オトリが弱ったときに有効
オトリが弱ってしまうと、流れの緩やかなポイントではまず野鮎は掛かりません。
オトリを入れても棒状に中層を漂うか、底にへばりついて休んでしまいます。
そんな状況では、背バリを装着して流れの強い瀬にオトリを送り込みましょう。
瀬に追い気の強い野鮎がいる場合、オトリを沈めさえすれば弱っていても案外掛かるものです。
オトリを安定させてコントロールしやすい
背バリを装着するとオトリをコントロールしやすくなります。
オトリの動きが自由だとポイントから出てしまったり、野鮎から逃げてしまったりするため、背バリで動きを拘束したほうが釣りやすくなるわけです。
「狙ったスジを引きたい」「ポイントからオトリを逃したくない」などの状況では、背バリが活躍します。
粘りのある泳ぎを演出できる
背バリを装着するとオトリは水流抵抗を強く受けるため、泳ぎのスピードを制御できます。
速いスピードでどんどんオトリを動かしたほうが掛かる場合もありますが、ゆっくりと粘りのある泳ぎを演出したほうが掛かる場面も。
とくに激戦区やスレた鮎が多いポイントでは、動かしすぎないほうが釣れる場合も多く、そんな状況で背バリは有効です。
デメリット
オトリのセットにひと手間かかる
当然ながら、背バリをオトリに刺すひと手間が必要です。
また、頻繁に外れるとストレスに感じることも。
とはいえ、オトリの頭部に軽く刺すだけであり、最初は戸惑っても慣れれば手間に感じなくなります。
鮎に傷がつく
鮎の頭部から背中にかけての黒い部分に打つため、時間が経つと背バリの跡が白く残ります。
釣った鮎をお店や旅館などに卸すプロの漁師は傷がつくのを嫌う場合もありますが、一般的には問題ありません。
オトリが弱る場合もある
川の温度が異常に高温のときなど、鮎に元気がないときはサカサ針を打っただけで弱ってしまうケースがあります。
また、翌日釣るためにオトリとして活かしておく場合「サカサを打つと弱る」という方も。
なるべくデリケートに扱う必要があるときは、背バリの使用も避けたほうがいいかもしれません。
引き抜きに時間がかかる場合がある
掛かったときに背バリがオトリから外れない場合、抵抗により引き抜きに時間がかかるといわれます。
とはいえ、野鮎が掛かるとたいがい背バリは外れますし、ほとんど気にならないという方も。
よほど後ろに打ちすぎる場合は強い抵抗を感じるものの、デメリットというには大げさかもしれません。
背バリのセット方法
背バリはオトリの頭部付近にセットしますが、針を打つ位置によって前傾角度が変わります。
前側に打つほど前傾姿勢が弱くなり、背中側へ打つほど前傾姿勢が強くなるのが特徴です。
前傾姿勢が強すぎると、極端に尾びれが上を向く逆立ちのような状態になるため、野鮎に違和感を与えるかもしれません。
また、水中抵抗が強すぎてオトリ操作もしにくいため、ハナカンが立つようにセットするのが理想という方もいます。
前傾姿勢が強くもなく弱くもなく、適度に前傾と水平を繰り返す自然な姿勢が野鮎を誘うという方もいるので、いろいろと試してみてください。
背バリのオススメ製品
背バリには、そのまますぐ使える状態の完成品と、自作用に針だけバラで販売しているタイプがあります。
タイプ別にオススメ製品を紹介しますので、購入を検討している方は参考にしてみてください。
チチワ式背バリのオススメ
カツイチ(KATSUICHI) ごくらく背鈎
チチワ結びで接続するシンプルなタイプの背バリです。
ダイワ(DAIWA) 快適T-1セバリ
刺しやすく抜けにくい「D-MAXシロギス投魂T-4号」を使用した背バリです。
脱着しやすいヒゲ付きでつかみやすく刺しやすい、チモト糸巻き仕様になっています。
糸グセがつきにくく耐久性に優れた、PEラインを使用しているのもオススメポイントです。
ダイワ 快適遊動セバリR
刺しやすく抜けにくい「ロングテーパー針先形状」を採用した背バリです。
ボディーは持ちやすく滑りにくい「ハードコート仕上げ」を採用しているほか、フックには超軽量で強靭なスーパーハイカーボン素材を使用しています。
15本入りでお買い得な徳用タイプです。
ワンタッチ式背バリのオススメ
カツイチ(KATSUICHI) ごくらくII フック
脱着式で遊動できるフック式の背バリです。
オーナー(OWNER) AS-12 遊動背ばり
脱着の簡単な一体成形タイプの背バリです。
ハリスを通す部分が遊動できてオトリへの負担も少なく、泳ぎをサポートします。
タックルインジャパン(TACKLE in JAPAN) フック式縦打背鈎 半スレ
縦打背鈎を使用したフック式背バリです。
ウレタン背バリのオススメ
カツイチ(KATSUICHI) マッスル背鈎
ウレタンゴムのクッション性能でオトリの泳ぎをサポートするウレタン背バリです。
チューブの採用で簡単に釣り場で脱着できます。
カツイチ(KATSUICHI) ハッキリマッスル
着脱時に見やすいハッキリマーキング採用したウレタン背バリ。
ストッパーはウーリー編みつけで、使いやすさを重視した仕様です。
カツイチ(KATSUICHI) Vマッスル
V型背バリのオススメ
がまかつ(Gamakatsu) バラ チチワ式V2背鈎(金)
安定度抜群の「VII背バリ」仕様で、釣り場で簡単にセット可能です。
がまかつ(Gamakatsu) バラ ワンタッチVⅡ背鈎 金 AS103
軸中央から「くの字」に曲げてあるV型背バリです。
持ちやすいほか、打ちやすくもなっています。
カツイチ(KATSUICHI) ごくらくV-B
背中へフィットしやすいV背鈎「せらくV」を採用した、遊動フック式ごくらく背バリです。
半スレ背バリのオススメ
シマノ(SHIMANO) 着脱式背バリ(半スレ)
金色で視認性に優れた針を採用した半スレ背バリです。
リング部にケプラート素材を使用しているのが特徴。
張りがあって使用時にもつれにくく、また外した後も糸ぐせが付きにくくなっています。
オーナー(OWNER) 半スレチチワ背ばり狐型 NO.16601 ロング
つまみ糸付チチワ仕様の半スレ背バリです。
持ちやすく打ちやすい狐型を採用しています。
カツイチ ごくらくII半スレ
外れにくい半スレタイブの背バリです。
いつのまにかに背鈎が外れているようなトラブルを防げます。
カツイチ(KATSUICHI) リモート背鈎
止めて待ちたいときなど、オトリ操作のしやすい絶妙な輪の長さに設定した半スレ背バリ。
ウーリーツマミをセットしてあり、取り外しも簡単です。
「背バリ」は自作もできる
背バリは自作もできます。
自作できれば針を自由に選べるほか、長さの調節なども自由自在です。
チチワ式なら何か余った糸で輪っか部分を作るだけですし、少しレベルの高いウレタン背バリづくりに便利なアイテムも販売されています。
自作用の背バリ
がまかつ(Gamakatsu) サカサ革命 手作り用 2号 30本
抜け落ち防止の「凄キープ」採用した、手作り用の背バリです。
がまかつ(Gamakatsu) シングルフック 一番背鈎
鈎先に特殊加工を施したコブラヘッドを採用した背バリ。
カエシがあるかのように一度打ち込めばなかなか外れないのが特徴です。
軸に平打ち加工を施しており、つかみやすくなっています。
カツイチ(KATSUICHI) 背鈎専用Ⅲ
半スレ仕様で外れにくい背バリです。
背中へのおさまりが良い丸みをおびた形状を採用しており、さまざまなタイプの背バリに使用できます。
ウレタン背バリの自作で便利なアイテム
カツイチ(KATSUICHI) ウレタンゴム(背鈎用)
ウレタン背バリの自作に便利なウレタンゴムです。
カツイチ(KATSUICHI) マッスルチューブ
自作ウレタン背バリに最適なストッパー用ウレタンチューブです。
いろいろな背バリを試してみよう
さまざまなタイプがある「背バリ」。
完成品でも安いですし、いろいろなタイプを試しに使ってみてはいかがでしょうか?
お気に入りの背バリが決まってから、自作にチャレンジするのもオススメですよ。
今回ご紹介した製品を参考に、自分にぴったりな背バリを見つけてみてくださいね。
本記事の更新情報
- 2024年4月30日:全体的に読みやすく調整しました。