鮎釣りや渓流釣りでは、スズメバチをよく見かけます。
刺激さえしなければめったに襲われませんが、万一刺されたら命に関わるため大変危険です。
スズメバチが活発になる季節は、ちょうど鮎釣りの季節とも重なります。
大自然に憧れて釣りをはじめる方もいるでしょうから、万一に備えての対策や対処法を覚えておきましょう。
スズメバチとは
スズメバチは日本全国に分布しており、もっとも大きいオオスズメバチは体長約45mm、女王蜂は55mm前後にもなる巨大なハチです。
スズメバチの活発に行動するのは7~10月とされ、とくに8~9月は巣を守るべく攻撃性が増して大変危険です。
日本での動物由来の死亡事故では、熊やヘビと比較してもダントツの多さであり、細心の注意を払わなければなりません。
生息範囲は幅広く、山林の樹木や地中、民家の屋根裏など、どんな場所にも巣を作ります。
巣に近づくと集団で襲ってくる可能性があるため、スズメバチが飛んでいる場所には近づかないのが賢明です。
アナフィラキシーショックに注意
スズメバチに刺された際にもっとも危険なのが「アナフィラキシーショック」です。
抗原に対する過度な免疫反応であり、全身にアレルギー症状を引き起こします。
刺されて短時間で発汗・吐き気・頭痛・じん麻疹・血圧低下などの症状があらわれ、最悪の場合は呼吸困難になって命を落とすことも。
一度刺された経験のある方が2度目に刺されると、ハチの毒に対する抗体によってアナフィラキシーショックを引き起こす可能性が高いとされています。
年間数十人の方が毎年お亡くなりになっており、刺された経験のある方はとくに刺されないよう注意が必要です。
お亡くなりなった方の多くが刺されてから1時間以内に死亡しているとされ、もし刺されたのが2度目という場合には、10分〜15分以内に病院で治療を受けてください。
釣り場でスズメバチに刺されないための4つのポイント
偵察蜂に注意しよう
河原に車で侵入すると、すぐさまスズメバチが車に寄ってくることがあります。
巣の近くを通った車が敵かどうかを見極めるために飛んできた「偵察蜂」です。
車の周りを数十秒飛び回ってから通常は去っていきますが、ブンブンと大きな羽音を発しながら飛び回るのは気持ちのいいものではありません。
なかには、しつこく飛び回って着替え中や川に入るときまでついてくる蜂もいます。
しつこいからとイライラして、手で払う行為は厳禁です。
攻撃されたと判断して襲ってくる可能性があるほか、「攻撃フェロモン」という物質を周りに撒き散らして仲間を呼び寄せます。
最悪の場合、集団で襲われてしまう恐れもあり、たとえ偵察蜂が周囲をしつこく飛んでいても決して慌ててはいけません。
間違っても、竿で追い払うような行為は大変危険ですのでやめておきましょう。
服装の色に注意しよう
黒や赤はスズメバチを興奮させる色、と言われています。
とくに黒は、蜂の巣を襲う熊と同じ色で反応しやすいとされており、注意が必要です。
必ずしも黒だから刺されるわけではないですが、アブやブヨも黒色を好むとされているため、よほどのこだわりがなければ黒は避けることをおすすめします。
黒は太陽光を吸収しやすい色でもあります。
近年の夏の暑さは異常ですから、あえて黒を着用するメリットはありません。
また、スズメバチはニオイに敏感だとされており、整髪料や香水などの使用も控えたほうがよいでしょう。
カチカチ音が聞こえたら逃げる
スズメバチが人を攻撃する際には、歯ぎしりのような「カチカチ」音をならします。
「これ以上近づくと攻撃体勢に入るぞ」という警告音であり、もし聞こえたら大変危険です。
偵察蜂が自分の周りをぐるぐる周りながらカチカチ音を発していたら、すぐにその場から離れましょう。
その際、大声を出す、突然ダッシュするなど大きなアクションは禁物です。
もちろん、手で払う行為はもってのほかです。
なるべくそっと、蜂を刺激しないようにゆっくりと離れるようにしてください。
また、顔や頭の上でホバリングされたら、頭を低くして後ずさりするのも有効です。
蜂の視界は狭く、上空を飛んでいるときは地面周辺が見えていない可能性があります。
それでも、もし攻撃された場合には、頭や首を重点的に守りましょう。
とくに、首を刺されるとリンパが腫れて重症化する可能性があるため、なるべく首を手で覆いながら逃げるとよいでしょう。
スズメバチの種類や状況によりますが、概ね10~50mの距離をとるのが望ましいと言われています。
藪こぎは細心の注意を払おう
鮎釣りや渓流釣りでは、藪こぎしながらポイントを移動する場合もあるでしょう。
足元が見えずに藪漕ぎして、巣に近づきすぎると大変危険です。
スズメバチの巣は民家の軒下や屋根裏、高い木の上などに作られるイメージがあるかもしれませんが、オオスズメバチなどは土の中や腐った木の根元にも作るため、足元にも注意しなければなりません。
気づいたときには警戒範囲に入ってしまい、頭上をカチカチ音を鳴らしながらホバリングしている、という状況にならないように気をつけてください。
また、集団でぞろぞろ移動するのもスズメバチを刺激し、興奮させます。
巣の近くを集団で移動する際は、とくに注意を払ったほうがよいでしょう。
もしスズメバチに刺された場合の対処法
症状があればすぐ救急車を呼ぶ
万一スズメバチに刺され、血圧が低下する、意識がもうろうとするなどアナフィラキシーショックの疑いがあれば、躊躇せずに救急車を呼びましょう。
アナフィラキシーショックは短時間でアレルギー症状を引き起こし、最悪の場合は死に至る可能性があります。
よほどの軽症なら、自分で病院へ向かっても大丈夫かもしれないですが、少しでもおかしいと思ったら119番通報してください。
可能なら仰向けになって両足を高い位置に上げて、患部を冷やしながら救急車の到着を待ちましょう。
応急処置してから病院へ行く
意識がもうろうとするなど重い症状がなければ、応急処置を施してから病院へ向かいましょう。
まずは患部を水で洗ってから毒液を排出しますが、間違っても口で吸い出してはいけません。口のなかの傷から毒がまわる可能性があるため、注意してください。
患部を指でつねるようにして毒液を絞り出しますが、毒液や毒針を絞り出しやすい「ポイズンリムーバー」を備えておくと便利です。
また、患部を冷やすと毒のまわりを遅くする効果が期待できます。
クーラーボックスに入れてある氷で冷やすとよいでしょう。
さらに、患部に抗ヒスタミン軟膏など虫刺されの薬を塗っておくと、救急処置としては完璧です。
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スズメバチは超危険!万一の備えはしておこう
手で払ったり、巣に近づきすぎたりしなければ、スズメバチが襲ってくるケースは少ないです。
スズメバチに襲われるのは、知らないうちに危険ゾーンに近づきすぎてしまったパターンがもっとも多いため、釣り場では油断せずに行動しましょう。
万一に備えてポイズンリムーバーや抗ヒスタミン軟膏など、応急処置できるようにしておくと安心です。
スズメバチを遠ざけるスプレーなども販売されているので、気になる方はチェックしてみてください。
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