編集部コラム

【編集部コラム】このままではダムが増えるかも?釣り師にできる地球温暖化対策について考える

 

「50年に一度」「100年に一度」「観測史上最大」など、近年、こんな言葉を何回聞いたことでしょう。

大型で強い台風19号「ハギビス」は2019年10月12日、午後7時前に伊豆半島に上陸した後、各地に記録的な強風と大雨をもたらしました。

記録的豪雨により各地で浸水や土砂崩れが発生。また、多くの河川が氾濫し、その被害は甚大です。

こう水害が多いと、鮎釣りどころではありません。

大被害をもたらすような大雨の発生の多発は、偶然ではなく必然だ、という人もいます。おそらく、今後も起きる。毎年のように起こるかもしれない、と。

釣り人にとって、川の存在は命と同じ。
水害が起これば、やれ治水だ、ダムのおかげで助かった、堤防をもっとつくれ、なんて話になってしまいます。

結局は、人間の生活のために川が破壊されてしまうわけです。

釣り人一人ひとりにできることなんて、たかが知れていますが「川を破壊するな、自然を壊すな」というのなら、どうして水害が発生するのか、自分には何ができるのか、そんなことくらい考えるべき、知っておくべきではないでしょうか。

水害の原因

近年、台風もそうですがゲリラ雷雨と呼ばれる、局地的な大雨による水害も多く発生。

過去の大水害を教訓にダムを建設、堤防を強化し続けてきたはずなのに、その想定を超える大雨が発生しています。

その原因のひとつといわれるのが、地球温暖化です。

二酸化炭素やメタンガスなどの温室効果ガスの大量発生によって、ほどよく太陽エネルギーの量を調節しているオゾン層を破壊し、地球の平均気温が上昇するというもの。

気温が上昇すれば海面温度が上昇するため、温められた空気が膨張して大きな台風に発達して日本にやってくる、という仕組みです。

もうひとつが山の保水力の低下。
行き過ぎた伐採により、根で水分を吸い上げてくれる木が減少し、降った大量の雨がそのまま川に流れてしまう、というわけです。

危機感から植林もおこなわれていますが、木は数年で保水力を持つほどには成長しません。大量の水分を含んでくれる木になるには数10年を要します。

また一方で、山をほったらかしにしているのも問題視されています。
林業に従事する人が減り、まったく手の入らない山の中は真っ暗。

光が差さないため下草が生えないほか、下草のない地面は固くなり雨が染み込みません。
大量に降った雨はやはり川へ垂れ流すことになるわけです。

ダムに賞賛の声

「2位じゃダメなんですか?」

そう、民主党が政権を担ったほんの一時、「仕分け人」たる蓮舫参院議員が言い放った言葉です。

国家予算を見直す事業仕分けにおいて、スーパーコンピューター開発の予算について議論されているときのことでしたが、同じくして当時の民主党は「コンクリートから人へ」とダムは不要と脱ダム宣言し、建設中の八ッ場ダム事業を凍結して話題になりました。

その後、自民党が政権を取り戻し建設が再開されましたが、実は、八ッ場ダムが完成したのが台風19号が直撃する直前、2019年10月に入ってすぐのこと。

まるで台風の上陸に合わせたように、完成したばかりの空っぽのダムに降った雨が蓄えられました。

八ッ場ダムは利根川の支流、吾妻川に作られたダム。
もし、空っぽの八ッ場ダムがなかったら、利根川が氾濫し関東地方はさらなる大惨事になっていただろう、と言われています。

実際、SNSでは、八ッ場ダムのおかげだ、八ッ場ダムが洪水を防いだ、という投稿も相次ぎました。

そこで活発化するのが、「ダムの反対派は、今までの言動を反省しろ」みたいなダム擁護論です。

国土交通省では「地球温暖化による雨量増加の懸念を国管理の河川の治水計画に反映すべきだ」とする提言骨子案をすでにまとめていました。
台風19号が直撃する前の5月のことです。

そんな折、大水害が発生したわけですが、早速今月の18日には「地球温暖化による気温上昇を考慮した対策に転換していく」ことを提言しています。

決壊した堤防がある川はもちろん、全国の河川について、堤防やダムなどの施設をどう強化していくかを検討し整備計画に反映させるとのこと。

「やっぱりダムがあったほうがいいね」「堤防があったほうが安心だね」という声の後押しを受けて、ダム・堤防建設事業を推進していこうつもりなのでしょう。

ダムの効果は限定的という意見も

今回の台風19号では、たしかに八ッ場ダムの効果はあったのだろうという意見が多いようです。

しかし一方で、それはたまたま「空っぽ」だったからだ、という意見もあります。

完成したばかりの空っぽな状態で100%雨を貯められたからであり、たまたまだと。
たしかに通常、ダムの事前放流は貯水量の30%までしか認められていません。

つまり、仮に八ッ場ダムがすでに稼働していて満水だった場合では30%しか放流できず、今回の雨量の70%は吾妻川に放流され利根川のあちらこちらで氾濫が発生したのかしれないのです。

必ずしもダムを乱立させれば安心というわけではなく、今回の被害状況の検証も含めてしっかりと議論、研究をしてもらいたいと切に願います。

釣り人にもできる地球温暖化対策

国連の「気候行動サミット」でスウェーデンの少女、グレタさんのスピーチは記憶に新しいところです。

「自分たちの金儲けのためばかりに二酸化炭素を大量に発生させやがって」と。

グレタさん、CO2を削減するために「石炭火力発電をやめろ」「飛行機や自動車に乗るな」と訴えるばかりか、牛のゲップはメタンガスを含み、飼料を育てるのに森林が伐採されているため「肉は食べない」そうです。

正直、そこまでのことはとても実践できそうもないですが、自然を愛し川を愛し釣りを愛するならば、微力ながらもできることを知り、心掛けていくのも大切なことではないでしょうか。

たとえば、

  • エアコンの設定温度を冬はいつもより1℃低く、夏は高くする
  • 車のアイドリングを長く続けない
  • 使用しない電化製品のコンセントは抜いておく
  • 買物は買物袋持参で

これくらいのことなら誰でもできますね。

ガソリン車の長距離運転することが多い鮎師ならば、ハイブリット車、電気自動車に乗るのが本当かもしれません。

豊かな自然あっての鮎釣りですから、環境について考えながら楽しみたいものです。